日本のメジャーな英語資格といえば、TOEICと英検でしょう。
これから英語学習を本格的に始める方のなかには、「どっちの取得を目指すべき?」「難易度や費用、利便性など、総合的なコスパがいいのはどっち?」などと悩むこともあるかもしれません。
そこでこの記事では、「TOEIC VS 英検」をテーマに、それぞれの試験の特徴や違いについて全解説します。
TOEICと英検、どっちを受ける?【結論】
結論からいいます!
確かな英語力を身につけたいなら、両方受けるのが最適解です!!
TOEICと英検は、問題の形式や出題の内容・クセが異なります。
TOEICは、ビジネスに役立つレベルの「英語の処理スピード」がないと、高得点は取れません。
英検は、日本人が苦手なスピーキングを含む4技能を磨き、「オールマイティな英語力」を身につけなければ合格できません。
それぞれにジャンルの違う「難しさ」があり、ジャンルの違う「学び」があるのです。
ただし、どちらも同じ英語の試験なので、TOEICの勉強は英検に役立つし、英検の勉強はTOEICに役立ちます。
どっちか悩むくらいなら、ぜひ両方受けてみて!絶対に後悔はしません。
とはいえ、「短期間で集中的に勉強するなら、どっちがお得なのかが知りたいのよ~!」
という方も多いと思うので、次章以降でそれぞれの試験の特徴や違いについて深掘りしていきます。
TOEICと英検|基本情報をおさらい
まずは、ごく簡単にTOEICと英検の基本情報を紹介します。
TOEICとは?
TOEICは、「人と企業の国際化の推進」を基本理念として、1979年に日本で誕生しました。
- 運営団体
一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC) - 試験方式
マークシート方式、点数制で合否なし - 試験内容
リスニング(100問・45分)、リーディング(100問・75分) - 試験頻度
年に10回程度 - 受験料
7,810円(税込)
英検とは?
英検は、「実用英語の普及・向上」を目的に、1963年に誕生しました。
- 運営団体
公益財団法人 日本英語検定協会 - 試験方式
マークシート方式+記述方式、合否あり - 試験内容
リーディング、リスニング、スピーキング、ライティング
※試験時間、内容は級によって異なる - 試験頻度
年に3回 - 検定料
2,500円~11,800円(税込)
TOEIC VS 英検!それぞれの違いを徹底比較
ここでは、TOEICと英検のおもな違いを徹底比較します。
実施頻度
TOEICは年に10回程度、つまりほぼ毎月開催されています。
「受けたい!」と思い立ったら比較的すぐに受けられるのが、TOEICのメリットです。
一方、英検は年に3回のみで、おおむね、
第1回検定が初夏(5~7月)に、第2回検定が秋(10~11月)に、第3回検定が年明け(1~3月)に実施されます。
TOEICはとりあえず受ける人も多いけど、英検はしっかり準備して臨むガチ勢が多め。
費用
TOEICの受験料は、7,810円(税込)です。
TOEICの受験料は絶賛高騰中!高頻度で受けるとお財布が痛い…
英検の検定料は、級によって異なります。
- 1級:11,800円(税込)
- 準1級:9,800円(税込)
- 2級:6,000円~8,400円(税込)
- 準2級:5,300円~7,900円(税込)
- 3級:4,300円~6,400円(税込)
- 4級:2,900円~4,500円(税込)
- 5級:2,500円~3,900円(税込)
上級レベルではTOEICよりも高額ですが、頻繁に受けるものではないことを考慮すると、まあ妥当ですかね。
なお、2023年度検定では、上記の正規検定料から一律100円の割引を受けられるようです。
参考:英検受験者向け 2023 年度限定 施策のご案内|公益財団法人 日本英語検定協会
試験の方式、合否の有無
TOEICの問題は、マークシートの選択方式(4択または3択)です。
一方、英検には記述式のライティングテストと、対面式のスピーキングテストがあります。
適当に選んでも正解の可能性があるTOEICと比べると、ごまかしが効かない英検はなかなかシビア。
一人では対策がしづらいことからも、英検のライティング、スピーキングを苦手とする受検者はかなり多いです。
また、TOEICは5点~990点の点数制で評価されますが、英検は一次試験・二次試験があり、合否もあります。
出題テーマ
TOEICの出題テーマは、ほぼすべてビジネス上でのやり取りに関するものです。
一方の英検では、日常会話のほか、一般教養の範囲内のアカデミックなテーマ(自然科学や歴史、文学ついてなど)も出題されます。
個人的には、話題の範囲が狭いTOEICの方が対策は圧倒的に楽ですが、社会人経験のない学生さんには、イメージしづらい問題もあるかもしれません。
英検は、読み物としては普通に面白いですが、どんなテーマの問題が来るかわからないので、本番ではやはり緊張します。
受検者の趣味趣向によって、「あたり回」と「はずれ回」がありますからね。
化学元素の話とか出ると、基礎知識なさすぎて詰む(文系あるある)
語彙
前述のとおり、TOEICの出題範囲はビジネスの場に限られており、出題される語彙も限定的です。
一方の英検は、世界的見ても「語彙問題の難易度が高い英語検定」とされています。
1回のTOEIC試験に出題される語彙数は約10,000語といわれていますが、英検1級合格に必要な語彙数は約10,000~15,000語といわれています。
この説が正しければ、英検1級合格するには、最大、TOEIC1回に出題される全単語の1.5倍もの語彙を習得する必要がある、ということになります。
なお、英検準1級の合格に必要な語彙は、約9,000語といわれています。
文部科学省によると、高校卒業レベルまでに学ぶ英単語は4000~5000語程度とのこと。英検の語彙レベルの高さが伺えます。
語彙学習を頑張る自信がない方は、TOEICの方が有利かも。
権威性と利便性
「とりあえずドヤれる、役に立つ方を受けたい」という切実な声に対する回答は、
「あなたの目的や属性によって選びましょう」となります。
・進学に使いたいなら、英検
・知名度が高いのは、TOEIC
・既に高い英語力に箔をつけたいなら、英検
・国際的な評価なら、(僅差で)TOEIC
・スピーキング力も証明したいなら、英検
総合的な難易度
「総合的に見て、少しでも簡単な方を受けたい」という方は多いと思いますが、難易度の比較は正直かなり難しいです。
ネット上では、TOEICスコアと英検の級に換算した表なども数多く見られますが、正直ほとんどあてになりません。
TOEICは2技能の試験、英検は4技能の試験で、そもそもやってることが全然違いますからね。
個人的な感覚で比較するなら、こんな感じですかね。
TOEIC450点 <<英検2級 <<TOEIC800点
<<英検準1級 <<TOEIC900点
<<英検1級 ≒TOEIC960点~
結局どっち?TOEICと英検、選び方のコツ
TOEICと英検、どちらか一つを選ぶとすれば、それぞれおすすめの方は以下のとおりです。
自分の「目的意識」「得意」「苦手」を見極めて、有利に立ち回れるほうを選びましょう。
・ビジネス英語を学びたい社会人
・就職や転職時のアピール度を重視する
・不合格でへこみたくない
・こまめな受験でモチベを高めたい
・国内での進学を控えた学生さん
・4技能を鍛えて実践力を身につけたい
・ビジネス分野以外の英語表現を学びたい
・ハイレベルな語彙力を身につけたい
まとめ
TOEICと英検、「どちらの価値がより高いか」は、日本人英語学習者の永遠のテーマかもしれません。
しかし試験の性質が異なるからこそ、両方受けることで多面的な英語力を鍛えることができます。
英語の知識は一生ものであり、英語学習は長期的に続けることでしか効果を発揮しません。
どちらを受けるか迷っているなら、ぜひどっちも受けてみましょう!