TOEICリスニングのうち、最も高い割合を占めるPart3。
Part3のコツをつかむことで、リスニングのスコアを大きく底上げすることができます。
そこで今回は、TOEIC Part3の回答手順や正答率を上げるコツ、おすすめの教材・勉強法などを徹底解説します!
TOEIC Part3とは?
TOEIC Part3は、2~3人による会話を聴き、1つの音声につき3つの質問に答える問題です。
会話の内容を選択するベーシックな問題のほか、図表のなかから適切な選択肢を選ぶ、といった変化球な問題も数問出題されます。
まずは問題の形式や設問の数、時間といった基本情報を押さえましょう!
問題の形式
TOEIC Part3のおもな問題形式は、以下の3パターンです。
- 2人の会話に関する質問に答える
- 3人の会話の内容に関する質問に答える
- 2人の会話をもとに、図表から適切な選択肢を選ぶ
Part3を苦手とする方は少なくないですが、会話のシチュエーションを正しくイメージできれば、比較的簡単に正答できる問題もあります。
考えようによっては、一瞬の聞き逃しが失点に直結するPart1、Part2より簡単といえます。
TOEIC公式ページでは、サンプル問題が公開されているので、ぜひ一度実際の問題を聴いてみてください!
参考:【TOEIC公式】サンプル問題|一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
問題数
TOEIC Part3では、13の会話音声が出題されます。
そして、各音声ごとに3問の問題が出題され、合計39問に回答します。
リスニングパート100問のうち、約4割はこのPart3が占めることになります。
つまり、Part3の出来がスコアを左右するといっても過言ではありません。
時間
TOEICリスニングの試験時間はおおよそ45分間で、各パートの内訳は以下のとおりです。
Part1 | 約4分 |
Part2 | 約9分 |
Part3 | 約17分 |
Part4 | 約15分 |
45分間、集中力を切らさないことがハイスコアの絶対条件!
TOEIC Part3の回答手順
TOEIC Part3では、問題を解くリズムが非常に重要です。
具体的には、以下の4つの手順に沿って回答していきましょう。
【STEP1】ディレクションズで問題を先読み
Part3が始まる前に、30秒間の説明アナウンス(ディレクションズ)が流れます。
この間に、最初の設問(Q32-34)の質問文(3つ)と、選択肢(各4つ)にざっと目を通して、どんな内容の会話が来るか、ざっくりイメージしておきましょう。
30秒で3つの質問文と12の選択肢を読むのが難しい場合には、質問文のみ見ておくかたちでもOKです!
個人的には、一字一句逃さず読むのではなく、ポイントとなる単語だけ拾うようにするのがおすすめです。
下記のように、印をつけた重要な単語のみを拾うイメージです!
Why is the man planning to take Monday off?
(A)He has a doctor’s appointment.
(B)He has a family reunion in Los Angeles.
(C)He will be attending a painting workshop.
(D)He will have work done at his apartment.
ただし、問題冊子への書き込みは厳禁なので、実際に印を付けるのはNGです!
【STEP2】マークシートに薄く印を残す
音声を聴きながら、正答がわかった場合には、マークシートに鉛筆でちょこっとだけ印を残します。
ここでの注意点は、音声を聴きながらがっつりマークシートを塗らないことです。
塗りながら聴くと集中力が分散されてしまい、答えを聞き逃すリスクが高まります。
鉛筆で「ちょん」と印を残すに留めてください。
そうすれば、万一音声の後半でミスに気が付いたとしても、すぐに消してリカバリーできます。
赤線を引いてある部分を参照、ちょっと見にくいかな?
【STEP3】質問文読み上げの間にマークする
会話の音声が終わると、3問の質問文が読み上げられます。
この間に、なるはやで「ちょん」と残した印を塗る、または、改めて選択肢を見て回答をマークします。
なお、TOEICのマークシートの読み取り精度は高く、棒線1本でも問題なく読めるそうです。
つまり、マークシートを綺麗に塗る必要はまったくありません!
TOEICは1分1秒を争う、非常に時間にシビアな試験です。わからなかったら潔く諦めて、適当にマーク済ませましょう。
マークは適当に、そして決して粘らないこと!音声が終わった後に考え込んでも意味なし!
【STEP4】次の問題の先読みに移る
前の3問の質問文が読み上げが終わる前に、次の問題の先読みに移ります。
2問目以降は、30秒の余裕がある1問目よりも、確実にタイトな時間で先読みをしなければならないため、STEP1で紹介したポイントを拾う方法で、時間を圧縮しましょう。
この4ステップをリズムよく繰り返して回答していくのが、TOEIC Part3のコツです。
TOEIC Part3 スコアアップのコツ
次に、Part3のスコアアップのコツを紹介します。
先読みのリズムを習得する
繰り返しになりますが、TOEIC Part3では、問題の先読みが肝になります。
はじめのうちはなかなか難しいとは思いますが、以下のようなリズムで問題の先読みができると理想的です。
(1)会話が音声が放送されている間に、3問すべての答えを見つける
(2)1問目の質問文が読まれている間に、3問のマークを終える
(3)2~3問目の質問文が読まれている間に、次の問題の先読みを完了する
このリズムを守るためには、聞き取れなかった問題を捨てる潔さも重要になってきます。
考えてもわからない問題に固執するより、次の先読みに時間を使う方がよっぽどスコアが上がる、ということを覚えておきましょう。
会話のシーンを思い浮かべる
質問文と選択肢をあらかじめ先読みすることで、「次にどんな会話が来るのか」ということを、ざっくり想像しておくことも非常に重要です。
会話のシーンを思い浮かべ、集中して聞くべきポイントを知ることができれば、聞き取りの難易度は一気に下がります。
例えば、こんな感じの問題が来たとします。
What does the company produce?
(A)Cars
(B)Computers
(C)Appliances
(D)Furniture
Why has a shipment been delayed?
(A)Some highways are under construction.
(B)A typhoon is approaching.
(C)A computer system is undergoing maintenance.
(D)A company doesn’t have enough drivers.
この2問に目を通すだけで、「モノを作っている会社の話題」であり、「何らかの事情で起きた配送の遅延が問題になっている」という、音声の主題が容易に想像できます。
ただし、先読みしても情景を想像しづらい問題もありますので、そのような問題にあたったときは、諦めて音声の聞き取りに全神経を注ぎましょう。
聞き取れなかった問題は捨てる
しつこいですが、大切なことなので何度でも言います!
Part3では、わからない問題で粘ってはいけません!
「粘れば粘るほど、スコアが落ちる」ということを理解して、本番の試験までに「捨てる勇気」を身につけましょう。
まったく見当もつかない問題に出会ったら、無条件に(A)を選ぶ、といったマイルールを決めておくのもおすすめです。
TOEIC Part3の勉強法3選
ここでは、TOEIC Part3に特に有効な勉強法3選を紹介します。
各国のアクセントに耳を慣らす
TOEICは、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、4ヶ国のアクセントで出題されます。
多くの日本人にとっては、あまり聞きなれないイギリス、オーストラリアのアクセントが鬼門になるでしょう。
TOEIC公式のリスニング音声を音楽代わりに垂れ流すだけでも、公式のナレーターの話し方に耳を慣らすことができます。まずは電車やお風呂、家事の合間などを利用して取り組みましょう。
急激な難化傾向が続くTOEIC。いずれ、アイルランドやインドのナレーターも登場するかもしれません(絶望)
こんなの無理ゲーすぎる。スコア欲しいならなるはやで取った方がいいヨ
単語帳で語彙力を強化する
TOEICは頻出の単語が決まっており、数もあまり多くないため、必要な単語を頭に叩き込むだけで、一気に高得点に近づけます。
「単語学習はつまらない」と敬遠する方は多いですが、薄い単語帳を1冊網羅すれば、900点に届くというコスパの良さがTOEICの特徴です!
また、単語専用のノートを1冊用意してオリジナルの単語帳を作り、単語帳に載っていなかった語彙を書き留めるのもおすすめです。
音読+オーバーラッピングをする
「人間は、自分で発音できない音は聞き取れない」という話を聞いたことがある方は多いと思います。
これは本当にそのとおりで、自分の口から出せない音が聞こえると、脳は即座に音声処理することができないらしいのです。
だからこそ、しっかりと英語の音を拾うためには、自分の口を動かして練習することが重要といえます。
なお、リスニング学習にシャドーイングを進める方はかなり多いですが、シャドーイングは元々同時通訳者の訓練方法であり、上級者向けの方法です。
初心者、中級者の方は、シャドーイングより負荷が低く、挫折せずに続けられる「音読+オーバーラッピング」でリスニング力強化を目指しましょう。
学習の手順は、以下の3ステップです。シンプルでしょ?
(1)スクリプトを精読し、わからない単語・文法をつぶす。
(2)音声を短く区切ってストップし、音を完コピして音読する。
※音声のスピードは下げてもOK
(3)音声を流しながら一緒に発音する。
※音声をイヤホンで聞き、自分の声をスマホで録音してみる
このステップを完成させたあとで、再度音声を聞いてみてください。
うまく聞き取れなかったのが嘘のように、スッと頭に入ってくる感覚を感じられると思います!
TOEIC Part3対策におすすめの参考書
TOEIC Part3で高得点を取るために、これだけは持っておきたい参考書を紹介します。
TOEIC公式問題集
TOEICを受けるなら、公式問題集は絶対に用意するようにしましょう!
日本ではTOEICの過去問は発売されていないため、「本番クオリティ」の模試はこの公式問題集のみ、ということになります。
正直、これがなければ、まず高得点は望めません。
2023年9月現在、最新版はオレンジのVol.9なので、まずはここから始めましょう。
もうちょい安いといいんだけどねーこればっかりは仕方ない。
出る単特急 金のフレーズ
『出る単特急 金のフレーズ(通称 金フレ)』も超大定番、TOEIC受験者必携の単語帳です。
見出し語は1,000語で、単語帳としてはかなり軽い部類ですが、TOEIC頻出の単語が網羅されているので、語彙対策は基本的にこれだけでOKです!
TEX加藤先生の「TOEICの世界あるある」のコメントも面白くて好き。
「金フレは知らない単語ばかりでしんどい」という方は、初心者向けの「銀フレ」から始めてもいいかも。
本屋さんで実際にめくってみてから決めてもいいね!
TOEIC L&R TEST パート3・4特急II
「Part3が特に苦手なので、集中的に対策したい」という方は、この特急シリーズのパート3・4に特化した問題集で訓練しましょう!
Part 3とPart4、51セット153問ものボリュームで、配点の大きいリスニングの後半2パートをしっかり対策できます。
本体がコンパクトで鞄に入れやすく、音声も後述のabceedアプリで無料で聞けるので、学習のハードルが低いのもポイントです。
はじめて受けるTOEIC(R) L&Rテスト 全パート完全攻略
初めてのTOEIC受験だから、とりあえずすべてのパートの基本を押さえたい、という方には、この総合対策本がおすすめです!
スコアアップのコツや要注意問題、学習の手順、2段階のレベル(600点・730点)に合わせた攻略ポイントなどが紹介されており、初級者~中級者にはかなり有益な内容になっています。
これでしっかり基本を押さえて、本番直前に公式問題集で腕試し、という使い方が最適です。
【番外編】TOEIC学習アプリ abceed
書籍ではありませんが、無料で使える学習アプリabceedも紹介させてください!
abceedは、上記で紹介した公式問題集、特急シリーズなどの音声のほか、マークシート機能、自動採点機能などを無料で利用できる神アプリです。
また、あとで復習したい項目に「要復習」フラグを付けて、絞り込むこととかもできます。
abceedダウンロード(Google Play)
abceedダウンロード(App Store)
無料でかなり色々使えるので、課金は特にしなくていいかな!
TOEIC Part3のよくあるお悩みと解決法
最後に、TOEIC Part3に関するよくあるお悩みとその解決法を紹介します。
せっかく先読みした内容を忘れてしまう
先読みした内容を忘れてしまう方は、質問文や選択肢の文章をすべて覚えようとしているケースが多いのではと思います。
先に紹介したとおり、目を通すのは「なぜ休む」「通院」「家族会」「絵画教室」「部屋で作業」のみでOKです。
Why is the man planning to take Monday off?
(A)He has a doctor’s appointment.
(B)He has a family reunion in Los Angeles.
(C)He will be attending a painting workshop.
(D)He will have work done at his apartment.
重要ポイントに絞って見ておけば、たとえ内容忘れてしまっても、1秒足らずで情報を再インストールできます。
私も秒で忘れるから、いつも再インストールしてるヨ(^ω^)
英語が早口でまったく聞き取れない
現状、「TOEICの音声のスピードが速くてほとんど聞き取れない」という場合にも、諦める必要はありません!
リスニング学習を効果的に進めるには、「なぜ自分はこの音声を聞き取れないのか」という自身の課題を明確にすることが最重要です。
英語を聞き取れないおもな原因は、以下の4つです。
(1)知らない単語・表現がある
(2)文法知識が不足している
(3)単語の正しい発音を覚えていない
(4)英語のリエゾン(連結、脱落、同化、はじき音、短縮)に慣れていない
これらの4要素のうち一つでも欠けてしまうと、正確な聞き取りはできません。
音声に聞き取れない部分があったら、まずは該当の部分を繰り返し聞いて、自分に欠けた要素を洗い出すようにしましょう。
「そもそも単語を知らなかった」
「使われている文法がわからなかった」
「単語は知っていたが、発音がわからなかった」
「音の変化のせいで聞き取れなかった」
上記のうち、一つまたは複数の要因を発見できるはずです。聞き取れない要因がわかれば、自身が対策すべきポイントが明確になります。
会話のシチュエーションをイメージできない
内容を聞き取れず、シチュエーションもイメージできないまま会話が終わってしまう、という悩みも良く聞かれます。
特に、TOEICの問題はビジネスシーンに特化しているため、学生の方にはややイメージしづらいかもしれません。
しかしTOEICでは、以下のようなほぼ決まったシチュエーションの問題しか出ません。
・予定変更(歯医者、飛行機、ホテル、会議室)
・仕事の依頼(同僚、取引先)
・会議(新商品、マーケティング、顧客調査)
・商品の注文(数量、色、値段、割引)
・サービスの問い合わせ(値段、在庫、納期)
・オリエンテーション(新入社員、自社社員)
・トラブル(通行止め、ダブルブッキング、納期遅れ)
対策を進めるなかで問題の傾向を把握できれば、100%聞き取れなくても情景が想像できるようになり、正答率は少しずつ上がっていくでしょう。
まとめ
Part3を苦手とする方は少なくないですが、会話が長い分、さまざまなヒントが散りばめられているため、しっかり集中すれば意外と簡単に正解できたりします。
また、TOEICのリスニングは、リーディングに比べると難易度が低く、耳を英語にしっかり鳴らしたうえで、基本的な単語、文法、音の知識を習得すれば、誰でも高得点が狙えます。
今回紹介した内容を参考にして、苦手の克服やスコアアップを目指してくださいね!